~各ミネラル成分の解説①~
「ミネラルは大切な成分」などと耳にしますが、実際はどのような働きをするかご存じですか?
この機会に各種ミネラル成分について勉強してみましょう。
第1回目はミネラル成分の人体での役割です。
ミネラル一斉分析ページにあります9種類のミネラルについてご紹介します。
① ナトリウム(Sodium)
細胞外液の主要な陽イオンであり、細胞外液量を維持しています。また、糖の吸収、神経や筋肉細胞の活動等に関与するとともに、骨の構成要素として骨格の維持に貢献しています。
欠乏により疲労感、低血圧等が起こり、過剰によりむくみ、高血圧等が起こることが知られています。腎機能低下により、摂取の制限が必要となる場合があります。
② カリウム(Potassium)
野菜や果物などに多く含まれており、加工や精製度が進むにつれて含量は減少する傾向にあります。細胞内液の主要な陽イオンであり、体液の浸透圧を決定する重要な因子で、食塩の過剰摂取や老化により失われ、細胞の活性が低下することが知られています。
必要以上に摂取したカリウムは、通常迅速に排泄されますが、腎機能低下によりカリウム排泄能力が低下すると、摂取の制限が必要となります。
③カルシウム(Calcium)
骨の主要構成要素の一つであり、カルシウムの99%は骨歯牙組織に存在しています。細胞内に含まれる量は微量ですが、細胞の多くの働きや活性化に必須の成分です。また、血液の凝固に関与しており血漿中の濃度は一定(8.5~10.4 mg/dL)に保たれています。
成長期にカルシウムが不足すると成長が抑制され、成長後不足すると骨がもろくなります。
④ マグネシウム(Magnesium)
骨や歯の形成や多くの体内の酵素反応、エネルギー産生に関与しています。
多くの生活習慣病やアルコール中毒の際に、細胞内マグネシウムの低下がみられます。また、腎機能が低下すると高マグネシウム血症となる場合があります。
⑤ リン(Phosphorus)
骨の主要な構成要素であるとともに、リン脂質の構成成分としても重要です。また、生体のエネルギー代謝にも深く関わっています。
腎機能低下により摂取の制限が必要となる場合があります。
⑥ 鉄(Iron)
赤血球を構成するヘモグロビンを作るのに必要な栄養素です。また、筋肉中のミオグロビン、細胞のシトクロムの構成要素としても重要です。
鉄の不足は貧血や組織の活性低下を起こすことが知られています。
⑦ 亜鉛(Zinc)
骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓などに分布し、核酸やたんぱく質の合成に関与する酵素など、多くの酵素の構成成分として、また、血糖調節ホルモンであるインスリンの構成成分等として重要な栄養素です。
欠乏により、小児では成長障害や皮膚炎が起こりますが、成人でも皮膚、粘膜、血球、肝臓等の再生不良や味覚、嗅覚障害が生じるとともに、免疫たんぱくの合成能が低下することが知られています。
⑧ 銅(Copper)
エネルギー生成や鉄代謝、細胞外マトリクスの成熟、神経伝達物質の産生、活性酸素除去などに関与しています。
遺伝的に欠乏を起こすメンケス病、過剰障害を起こすウイルソン病が知られています。
⑨ マンガン(Manganese)
骨代謝、糖脂質代謝、運動機能、皮膚代謝等に関与し、マグネシウムが関与する様々な酵素の反応に作用することが知られています。
マンガンは植物には多く存在しますが、ヒトや動物に存在する量はわずかです。
知っているようで知らない働きが多かったのではないでしょうか。
人にとって重要な成分であることが良くわかりましたね!
次回は植物についての役割をご紹介します。
【参考文献】
『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』
日本人の食事摂取基準(2015年版)